料理好きな方にとって間取りを考える上で重要視されるのがキッチンです。
「キッチンの雰囲気にぴったり合う、おしゃれなカップボードが欲しい!」
「収納したいものに合わせて、使い勝手抜群の棚をオーダーメイドしたい!」
新築やリフォームを機に、既製品にはない自由な設計とデザインが魅力の「造作カップボード」を検討される方は多いですよね。キッチン空間に統一感が生まれ、理想の収納を実現できる大きな可能性があります。
しかし、その一方で「思ったより高額になった…」「使い勝手が悪くて後悔…」「素材選びに失敗したかも…」といった声も。オーダーメイドならではの難しさがあるのも事実です。
今回の記事では、造作カップボードで後悔しないために、計画段階で知っておくべきメリット・デメリット、費用の考え方、失敗しないための重要なポイントをわかりやすく解説します。
読んだ後には造作カップボードがあなたの理想のキッチンに本当に必要か、そして、もし採用する場合にどう進めれば良いか、具体的な計画が見えているはずです。ぜひ、後悔しないための参考にしてください。
「憧れて作ったけど…」造作カップボードでありがち後悔ポイント
まず、造作カップボードを選んで「こんなはずじゃなかった…」となりがちな、よくある後悔の声をご紹介します。
造作カップボード よくある後悔ポイント
- 後悔1:予算オーバー!思った以上に費用がかかった… こだわりを詰め込みすぎて、見積もりより大幅に高額に!材料費、設計料、施工費…内訳をしっかり把握していなかった。
- 後悔2:使い勝手が悪い…収納計画の甘さが原因? デザイン重視で収納力が足りなかったり、棚の高さや奥行きが合わなかったり。実際に使うシーンを具体的にイメージできていなかった。
- 後悔3:素材選びに失敗…汚れや傷が目立つ おしゃれだけど手入れが大変な素材を選んでしまった。水濡れや油はねでシミになりやすい、傷がつきやすいなど、キッチンでの使用に向いていなかった。
- 後悔4:完成まで時間がかかりすぎ!工期の問題 オーダーメイドなので、設計から製作、設置まで時間がかかることを理解していなかった。引っ越しやリフォームのスケジュールに影響が出た。
- 後悔5:既製品でも良かったかも?比較不足の後悔 高品質な既製品のカップボードやシステムキッチンの収納も検討すれば、もっとコストを抑えられたかもしれない、という比較検討不足。

せっかく高いお金払ったのに使いにくいなんてことのないようにしよう!!
これらの後悔は、事前の情報収集不足や、計画段階での詰めが甘かった場合に起こりやすいと言えます。
造作カップボードとは?既製品との違いはどこ?
まず、「造作カップボード」がどのようなものか、既製品との違いを押さえましょう。
造作カップボードの定義:現場で作るオーダーメイド収納
造作カップボードとは、家具職人や大工さんが、設置するキッチンスペースに合わせて、ミリ単位で設計・製作・設置するオーダーメイドのカップボード(食器棚やキッチン背面収納)のことです。「造作家具」の一つに分類されます。
メリット:既製品にはない魅力
- ぴったりサイズ: 壁から壁まで、天井までなど、設置場所に隙間なくぴったり収まるように作れる。
- 自由なデザイン: キッチン全体の雰囲気や、他の家具と合わせたデザイン、好みの色や取っ手などを自由に選べる。
- 素材選びの自由度: 無垢材、集成材、メラミン化粧板、ステンレスなど、予算や好みに合わせて様々な素材を選べる。
- 収納の最適化: 収納したい食器や家電のサイズ、量に合わせて、棚の高さや奥行き、引き出しの数などを自由に設計できる。
- 空間の統一感: キッチンカウンターや他の造作家具と素材やデザインを合わせることで、空間全体に統一感を出せる。
デメリット:知っておくべき注意点
- 価格が高くなる傾向: 材料費に加え、設計・製作・設置の手間がかかるため、既製品に比べて高額になることが多い。
- 時間が必要: 設計の打ち合わせから完成・設置まで、数週間~数ヶ月単位の時間がかかる。
- 完成後の修正が困難: 一度作ってしまうと、後から棚の高さを変えるなどの大きな修正は難しい。
- 業者選びが重要: 設計力や技術力、コミュニケーション能力のある信頼できる業者を見つけることが成功の鍵。

後悔しない!造作カップボード計画の重要ポイント【設計・素材・費用】
造作カップボードで後悔しないためには、計画段階が最も重要です。以下のポイントを押さえましょう。

失敗しない収納計画:何をどれだけ収納するか?
計画のヒント
- 現在持っている食器、調理器具、家電(電子レンジ、炊飯器、トースター、コーヒーメーカー等)をリストアップする。
- それぞれのサイズ(特に家電の奥行きや高さ)を測る。
- どこに何を収納したいか、使用頻度も考慮して配置を考える。
- 「見せる収納」と「隠す収納」のバランスを決める。
- 将来的に増える可能性のあるものも考慮に入れる。
この作業を行うことで、必要な棚の数やサイズ、引き出しの深さなどが具体的に見えてきます。
デザインと使い勝手の両立:動線、扉の種類、コンセント位置
- **キッチン動線:** 作業スペースを妨げないか、扉を開けたときに邪魔にならないかなどを考慮。
- **扉の種類:** 開き戸、引き戸、フラップ扉など、場所や用途に合わせて選ぶ。耐震ラッチの有無も確認。
- **家電用コンセント:** 置きたい家電に合わせて、適切な位置と数(アース付きなど)を計画段階で組み込む。 ←私的一番大事なポイント!!
- **ゴミ箱スペース:** ゴミ箱を隠して収納したい場合は、そのスペースも設計に含める。

口を酸っぱくして言うけどコンセント計画は本当に真剣にシュミレーションしながらやるべき!!後からの増設は難しい
素材選びのポイント:見た目・耐久性・手入れ・予算で比較
素材は見た目だけでなく、機能性や予算にも大きく影響します。
- **無垢材:** 天然木の風合いが魅力。経年変化を楽しめるが、高価で水濡れや反りに注意が必要。
- **集成材:** 無垢材より安価で反りにくい。木の種類によって表情が変わる。
- **メラミン化粧板:** 色柄が豊富で、傷や汚れ、熱に強く手入れが簡単。比較的安価。木目調などデザインも多様。キッチンに人気の素材。
- **ポリエステル化粧板:** メラミンより安価で、光沢のある仕上げが可能。
- **ステンレス:** 耐久性、耐水性、耐熱性に優れ、衛生的。シャープな印象。指紋が目立ちやすいことも。
気になる費用:価格の内訳と相場感、コストダウンのコツ
- **価格の内訳:** 主に「材料費」「設計・製作費」「設置工事費」で構成される。
- **相場感:** サイズ、素材、デザイン、内部の仕様(引き出しの数など)、依頼先によって大きく変動するが、既製品のハイグレードなカップボードと同等か、それ以上になることが多い(数十万円~百万円以上)。
- **コストダウンのコツ:** * 素材のグレードを見直す(例:見える部分だけ良い素材を使う)。 * 複雑なデザインや内部の仕切りをシンプルにする。 * 扉をなくしオープン棚にする部分を作る。 * 複数の業者から見積もりを取る。
【比較表】主な素材(天板・扉など)の特徴
素材 | 主な特徴 | メリット | デメリット | 価格帯目安 |
---|---|---|---|---|
無垢材 | 天然木、風合いが良い、経年変化 | 質感高い、調湿効果も | 高価、反り・割れ注意、水に弱い | 高価 |
集成材 | 無垢材より安価、反りにくい | 木の質感あり、比較的安価 | 種類により差あり | 中~高価 |
メラミン化粧板 | 色柄豊富、耐久性高い、手入れ楽 | 傷・汚れ・熱に強い、安価 | 木のような質感は出にくい | 安価~標準 |
ステンレス | 耐久・耐水・耐熱性◎、衛生的 | 丈夫で長持ち、手入れ楽 | 高価、指紋目立つ、傷はつく | やや高価~高価 |
※上記は一般的な特徴です。具体的な製品やグレードにより性能・価格は異なります。
依頼先はどこ?後悔しない業者選びと比較検討
造作カップボードの成功は、信頼できるパートナー(依頼先)を見つけられるかに大きく左右されます。主な依頼先と、選ぶ際のチェックポイントを見ていきましょう。
依頼先の種類:工務店、設計事務所、オーダー家具工房
どこに依頼するかによって、特徴や費用感が異なります。
- 工務店 / ハウスメーカー: 新築や大規模リフォームの場合、家全体の設計と合わせて依頼しやすいのがメリットです。窓口が一本化できますが、デザインの自由度や造作家具に関する専門性は事前に確認しましょう。
- 設計事務所: デザイン性に特にこだわりたい場合におすすめです。設計料は別途必要になることが多いですが、オリジナリティの高い提案が期待できます。実際の製作・施工は提携する工務店や家具工房が行います。
- オーダー家具工房: まさに家具作りのプロフェッショナル。細かい要望にも対応可能で、質の高い仕上がりが期待できます。直接依頼できる工房と、工務店などを通じて依頼する工房があります。
業者選びのチェックポイント:実績、提案力、コミュニケーション
依頼先を決める際には、以下の点をしっかり確認しましょう。
- 施工実績: これまでに手がけた造作カップボードや造作家具の施工事例(写真や実物)を見せてもらい、デザインや品質を確認します。
- 提案力: こちらの要望を丁寧にヒアリングした上で、プロの視点から具体的なプランやアイデアを提案してくれるか。メリットだけでなく、デメリットやリスクも正直に説明してくれるか。
- 見積もりと図面の分かりやすさ: 内容が詳細で、分かりやすく作成されているか。
見積もりの見方と注意点
見積もりは、後々のトラブルを防ぐためにも非常に重要です。
見積もりチェックのポイント
- 必ず複数の業者から相見積もりを取る。
- 総額だけでなく、材料費、設計・製作費、設置工事費などの内訳が明記されているか確認する。
- 使用する素材のグレードや金物(取っ手、蝶番など)の仕様まで記載されているか確認する。
- 不明な点や疑問点は、契約前に必ず質問し、納得のいく説明を受ける。
焦らず、じっくり比較検討することが、後悔しない業者選びの第一歩です。

せっかく造作するならオシャレなものにしたいよね♪
まとめ:理想のキッチンを実現する、後悔しない造作カップボード計画
造作カップボードを選ぶことで、キッチンスペースに合わせたぴったりの収納が実現できます。デザインや素材も自由に選べるため、既製品にはない『我が家ならでは』の使い勝手や雰囲気を追求できるのが大きな魅力です。
しかし、その自由度の高さゆえに、後悔しないためには事前の計画と情報収集、そして信頼できる依頼先との綿密なコミュニケーションが何よりも重要になります。この記事で解説してきたポイントを、ぜひあなたの計画に役立ててください。
後悔しないための最終チェックリスト
- 本当に必要な収納量と使い勝手を具体的にイメージできていますか?
- キッチンのデザインや動線に合った計画になっていますか?
- 素材のメリット・デメリットを理解し、予算とライフスタイルに合った選択ができていますか?
- 費用の内訳と総額に納得していますか? コストダウンの工夫も検討しましたか?
- 信頼できる依頼先を見つけ、十分に話し合えていますか?
造作カップボードは決して安い買い物ではありませんし、時間も手間もかかります。だからこそ、じっくりと検討し、情報を集め、プロフェッショナルと協力しながら、あなただけの、そして家族みんなが満足できるカップボードを実現してください。
この記事が、あなたの後悔しないキッチンづくりへの第一歩になるといいなぁと願っています。
合わせて読みたい記事